(5−1)センチ。 (携帯用)

 

 

1コ上の友達は明るくて元気で頼もしくて強い人。

見上げてたその人に追いつきたくて、俺は毎日磁石みたいに後ろを追いかけてた。

良く覚えてる。

 

皆が小学校に上がる時・中学に上がる時。

それまで一瞬みたいだった1年がとてもとても長くて、同じ所にいないのは昼間だけなのに嘘みたいだった。

中学で真新しい学ランを着た皆は何だかすごく大人に見えて、最高学年になった俺は自分はああなれるんだろうかとあと1年の小学校生活がまるで『子供』から降りるカウントダウンに感じた。

カウントダウンがおわった次に見えるものは、真っ白だとしか思えなくて。

カッコイイねってはしゃぐ剣太郎が羨ましかったのを覚えてる。

そんな時、初めて聞いた呼び名。

 

バネ

 

・って

本気でびっくりした。俺ら皆ちっさい時から一緒で、名前で呼ぶのが当たり前。苗字で呼び合ってるのはなんかカッコ良くて、目に見える線の他に見えない線も引かれたみたいで寂しくて。

中学のテニスコートから一緒に帰る時、

  

何かカッコイイ

 

・って言ったら、バネさんは笑って俺の頭を容赦なくわしゃわしゃ掻き回して

 

 バーカ!俺はカッコいーんだよ!

 

・って。

 

 

変わったのは、呼び方・着る服・通う学校。

背中に背負ったボロボロのランドセル。黒の剥げた肩ベルトを握って、思う。

呼び方・着る服・通う学校が変わっても、バネさんは変わらない。俺らは変わらない。

だから、このランドセルを背負ってる間はまだ

 

 はるくん・で、いい。

 

・って言った声はずいぶん小さなつぶやきになった。

 

6年生の1年間。

俺は俺の友達と剣太郎の友達とで、毎日中学のテニス部に通ってた。予備軍なんて自覚はさっぱりなかったけど、穴のあいたフェンスの向こうでバネさんが、ほら、“いつも”と変わんねーだろって笑ってたな。

 

1年前の1日前に通り過ぎた校門の前の看板。

紙の花で縁取られた「入学式」の文字の向こう。

井戸端会議で話し込んでる親をおいて走る俺の先に、

一昨日と同じ笑顔でバネさんが待っていた。

 

 

END

 

 

 

先に書いた「今日まで、明日から」のダビデsideです。バネさんを追っかけて追っかけて、バネさん大好きなダビデがめんこいです。…悲しい事にダビバネ本しか見かけませんが…(TT)私の探しかたがマズイんでしょうか;;買いますけどね、ダビバネ本でも…スタンスが被ってればちゅーどまりぐらいなら…;;

ダビデsideのタイトルはWaTの歌から拝借してアレンジです☆